盟友は褒め上手
私が盟友と言って憚らないTさんは、私の元気の素のような人です。
声が大きくて、いつも明るく、褒め上手。何かに憤ったり、迷ったりしていると、「大丈夫だよ。だってあなた凄いじゃん」と言ってくれます。
ほとんどが根拠のない「大丈夫」なんですが、大きなとおる声で肩に手を回されてそう言われると、それだけで勇気百倍、となるわけです。
私の起業にあたっても背中を押してくれましたし、今も何かにつけて応援してくれています。
会議中の口笛
Tさんを端的に表現するなら、「天真爛漫」「自由奔放」でしょうか。
そんなTさんに先日、彼の子供時代のエピソードを聞く機会がありました。短いけど、なかなか素敵なエピソードです。
ある会議の途中、議論が途切れたタイミングで、Tさんが短く口笛を吹きました。
びっくりするくらいの音色に驚いて、「無茶上手いね」と褒めると、Tさんは、「そうなんだよ。俺、口笛すごく上手いんだ。子供の頃、友達いなくてさ」と話し始めました。
こんな話です。
口笛と帰り道
Tさんは小学生の頃、友達がいなくて、いつも一人で下校していました。
地元の群馬の田舎道をすたすたと歩く、小さなT少年の姿が思い浮かびます。一人だから話す相手もいないので、彼はからっ風に吹かれながら、口笛を吹いて歩きます。
毎日、家までのそこそこ遠い道のりを、自分の口笛でスイングしながら歩くのです。
いつの間にか、家族はもちろん、近所の人も、Tさんの口笛が聞こえると、「あっ、Hくん(Tさんの下の名前)が帰ってきた」とすぐに分かるほどに上手くなっていました。
結構遠いところからでも聞こえる、トルクのある、それでいて澄んだ音色です。
うだるような夏の午後も、赤城おろしが吹き荒んで凍える午後も、T少年が口笛を忘れることはありませんでした。
変わらないスタンス
私は、T少年が一人で口笛を吹いて歩く姿を想像してみました。
でも、そこに寂しさとか、悲哀といった負の匂いは感じられませんでした。
ひとりを楽しんでいるように、飄々と軽やかにスイングする、小さい後ろ姿が思い浮かびます。
今とその頃、彼を取り囲む環境はずいぶん変わりましたが、口笛少年は変わることなく大人になったんだな、と感じます。
どんな環境にあっても変わることのないスタンス。「その場所」を楽しむ強さとでもいうのでしょうか。
いつも人に囲まれて楽しそうなTさんは、少年時代、毎日とびっきり素敵な口笛でスイングしながら、ひとり帰り道を歩いていた。
なんだか素敵な話だと思いませんか?

