平尾誠二さんが遺した言葉

本など

ミスター・ラグビーの死

2016年10月、ミスターラグビー平尾誠二さんが53歳という若さで亡くなったというニュースを聞いた時、体の力が一気に抜けるような感覚に陥ったことを覚えています。憧れ続けた稀代のラガーマンが、何の前触れもなく、そんなにも早く病に屈して旅立ってしまった事がにわかには信じられませんでした。※事実は平尾さんんは最期まで闘い続け、決して病に屈した訳ではありませんでしたが、一般には闘病を公表していませんでしたから、そんなふうに感じてしまったのだと思います。

人を奮い立たせるリーダーの力

平尾さんの没後、彼が遺した言葉を集めた「人を奮い立たせるリーダーの力」という一冊が刊行されました。揺るぐことのない信念で貫かれた91の言葉が詰まった、強い思いに溢れた一冊です。私はこれまで、何度もこの本を読み返し、平尾さんの言葉を反芻してきました。

この本が刊行された2017年、私は部長職に任用され、初めて経験する職責でチームビルディングやチームメンバーとのコミュニケーションに悩みながらも夢中で進んでいました。そんな時期でしたから、平尾さんの言葉のひとつひとつが、学生時代、厳しい練習の後に乾ききった喉に流し込んだ水のように、心の奥に深く深く染み渡り、私をその都度、蘇生させてくれたのです。

強く、自由な日本人になる

私は今、リーダーでも指導者でもありませんが、折に触れてこの本を開き、俯瞰して自分のスタンスを確認し、ずれがあるならそれを修正するよう努めています。

ここに記されているのは、優れたスポーツマンであるとともに、秀でたリーダーそして指導者であった平尾誠二という、豪胆奔放に見えながらその実、人の心の動きに繊細なまでに気を配る思いやりに満ちた人の言葉だからこそ、そのひとつひとつの言葉には重みと説得力があるのです。

私は日本の全てのリーダーや指導者がこの本を手に取り、平尾さんの強い言葉に触れるべきだと、本気で思っています。そうすれば、彼が心から願ったように、日本は今よりずっと強く逞しく、そして自由になるはずです。

4/91 平尾誠二さんの言葉

この本に集められた91の矜持(言葉)から、「今の私自身」に向けるべき言葉を4つ紹介します。それぞれの言葉の意味については、是非、本書を読んでいただければと思います。

もっとも遠くにいる人間に向かって話せ

理論家は近く、情熱家はとおく

いいときは悲観的に、悪いときは楽観的であれ

強い「個」の確立は、弱い自分と向き合うことからはじまる

新たな拠点となる大手町に向かう東西線に揺られながら、あらためて平尾誠二さんの言葉を強く胸に刻んでいる私なのです。

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