海に行く

趣味

おはよう

Mちゃんは10年落ちの黒いアルファードを私の家の前につけると、いつものように、「おは!」と手を上げ、電子タバコを吸いながら降りてきました。7月初旬の午前4時30分、もうすでに朝の光は世界を覆い、空気は熱と湿気を帯び始めています。私が1年のうちで一番好きな時間です。

海に行く

Mちゃんに会うのも、海に行くのも昨年の宮崎トリップ以来ですから、10か月以上もサーフィンしていないことになります。起業準備、退職にかかわる手続き、事業の開始といろんな事に追われるまま毎日が過ぎて行って、物理的にも精神的にも余裕がなかったせいか、海に行きたいと思う事も少なくなりました。人生においてはこんな時期もあるのだなと、しみじみと感じている今日この頃であります。

アルファードの広い後部座席にサーフボードとウェットスーツを放り込んで助手席に乗り込むと、やはりスイッチが入ります。

何百回繰り返しても変わらない、グッドウェーブと今日というイカした一日への期待に鼓動が高鳴る瞬間です。

好きな事を続けるという事

Mちゃんは昨年、めでたく還暦を迎えて、この3月、長年勤めた会社で定年を迎えましたが、そのまま同じ職場で再雇用となりました。「同じ仕事なのに給料は大幅カットとなった」とボヤいてはいましたが、結論としては「週4日は在宅勤務だし、Web会議も聞いてるだけだから、まぁいいか」とのことです。

Mちゃんは18歳の頃から週末には必ず海に行くスタイルを守り続けています。一部の世俗的な事柄(出世とか)を排除する潔さと、何より海に通い続けられる健康な体を維持しなければできない事です。言う程には簡単なことではありません。

私は13年程前に大きな病気をしてから、年に数度しか海に行けなくなりましたから、40年以上も波乗りし続けていることは偉業にすら感じられます。

ブランク

運動不足と体重の増加、そして急激に進む体力の低下の中での10か月のブランクは、想像以上にパフォーマンスを低下させていました。波のサイズは程よく小ぶりで、風も弱く、海面も落ち着いていて、私にとって絶好なコンディションであったにもかかわらず、沖にたどり着くころには、体力は消耗し切って、波に乗る力も気力も尽きていました。

不安定なパドリングと数回のドルフィンスルーによって体力は理不尽に略奪され、戻ってくる気配すら感じられません。

やっとたどり着いたラインナップでサーフボードの上に座ると、何人かの顔見知りがこちらを見ているのに気づきました。私はたった一度のゲッティンで疲労困憊となっていることを悟られないよう、なんとか笑顔を作り、手をあげたりしましたが、やはり極度の疲労は隠し切れなかったようです。

「久しぶり。ねぇ、大丈夫?

と同じ言葉を異口同音に聞くことになったのです。

Keep on dreaming

それでもやはり、私は海と波乗りが好きです。サーフィンは生き方です。そして、それは私の人生観というか、魂みたいなものに強く影響を及ぼしていると感じます。いくつかの条件が整えば、かつてのように勤勉なサーファーに戻りたいと思っています。

そしていつの日か、海の近くに住処を持ち、一日を波乗りで初め、波音と海からの風を感じて穏やかに暮らす事。それが私が目指す人生の到達点であり、願いなのです。

それがいつになるか見当も付きませんが、、、

Keep on Surfing

keep on Dreaming

タイトルとURLをコピーしました