還暦の夏

交流紀

還暦の意味

還暦で迎える夏が始まりました。

60歳という年齢は日本だけでなく、海外でも人生の節目として意識されていて、各国それぞれの風習でお祝いするようですが、干支や暦に結びつけて「還暦」と称して祝うのは日本だけのようです。

還暦とは、干支が60年で一巡して「暦が還る」ということで、「生まれ変わる」や「再スタート」の意味があって、そういう意味で「赤いちゃんちゃんこ」を着るらしく、還暦とは赤ちゃんに戻るということでもあるのですね。

ちなみに十干十二支はこんな感じです。組み合わせルールに従い実際に使える組み合わせが60とおりらしいです。

 十干 : 甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸

 十二支 : 子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥

還暦の夏お祝い週間

ということで、私も先日、わが人生における再スタートの権利を正式に獲得することとなりました。

多くの仲間と家族がそれぞれ、かなり盛大に私の「赤ちゃん戻り」を祝ってくれました。オリジナルグッズを作ってくれたり、心温まるパーティーを開いてくれたり、誕生日前後の数週間は、本当に幸せな時間でした。

みんなに気を遣わせて、お金も使わせて申し訳ないなと恐縮しながら、かなり思い切り楽しませてもらいました。私が60歳になるまで、いつも変わらず付き合ってくれたばかりでなく、忘れることなくお祝いをしてくれた仲間達と家族には心から感謝です。

お祝いのパーティーや食事会で同様に感じたことがあります。それは、そこに漂う空気が「いままでお疲れさまでした、これからは少しゆっくりね」的なものは皆無で、「ますます激熱で頑張ってね。応援してるよ」「まだまだやり足りないでしょ、ゆっくりは出来ないよね」のような雰囲気満載だったことです。

かつては60歳というと、会社を定年退職して余生に向かうというイメージがありましたが、時代は変わったのだなと感じましたし、なんだかその空気感が嬉しく、もういっちょやるか!と沸々としたファイトが湧いてきたというのが、還暦付近から今に至るまでの私の偽りのない心境であります。

還暦の夏、熟年は荒野をめざす

そんな還暦の夏のある日、大学時代にただ一人心を許した友人であるKが、内幸町の名店「新橋亭」でお祝いをしてくれました。彼は一つ年上の同級生なので、昨年、すでに赤ちゃん戻りを済ませています。

安定感ばっちりの美味い中華料理と高級紹興酒を味わいながらの会話は、あの頃の思い出話はほどほどに、現在と未来についての話題が大半を占めていたように思います。

Kは相変わらず、大きな企業の役員として全国を駆け回り、中央省庁や政界とのリレーションを維持拡大しながら、精力的に活動していて、かつての還暦のイメージとはかけ離れた生き方をしていますから、彼とふたりで話をしていると、自分たちがすでに人生の後半戦に深く立ち入っていることを忘れるのと同時に、あらためての未来を目指す第二の青春の只中にいることを実感します。

希望や野望を胸に秘めることなく、控えめではあるにせよ言葉に出来る、60歳の青年です。そういう意味では、すべてのものを斜め45度から見下し、時に牙をむいて威嚇していたやせっぽちの小僧たちは、いくぶんは大人になったのかも知れません。

還暦の夏、久しぶりに読んだ「青年は荒野をめざす」

私が学生時代に愛読していた五木寛之の「青年は荒野をめざす」という小説がありますが、今の私たちはまさに「熟年は荒野をめざす」の領域です。

男は何歳になってもそれぞれの荒野を目指すべきなのです。還暦を迎えてなお目指す荒野はどんな景色でしょうか。

大好きな誕生月の7月はあっという間に通り過ぎて、今年も異常な暑さが威力を増す8月を迎えました。私は今、勇敢でタフで情熱に溢れたかつての部下たちが目指す、巨大なビジネス獲得に向けた活動を見守っています。

現役時代とは違う戦い方で彼らをサポートしながら、こうして共に闘えることに感謝し、この闘いの勝利をこころから祈りながら、たくさんの野望を胸に還暦の夏をかなりのスピードで走っているのです。

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