兆徳
少し前、町中華がひそかなブームになっていたことがありましたが、私も町中華が大好きです。油っぽいテーブルで餃子をあてに、ひとり瓶ビールをグイっと煽る瞬間は何とも言えず大人な時間です。さて、極めて個人的な好みとしてですが「町中華の最高峰」「世界で一番うまい町中華」といっても過言ではない最高の店が、東京メトロ南北線の本駒込駅からすぐ、本郷通りの交差点沿いにあります。
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情熱大陸にも出たことのある、名物大将が中華鍋をふるう町中華、その名も「兆徳」。ここにはいつもたくさんの人が行列を作っています。なかなか長い行列ですから、その絶品メニューにありつくのはなかなか大変そうです。私がこの店に訪れるときは、2階の座敷を予約して大人数で集まることがほとんどですから、実はその行列に並んだことは無いのです。
兆徳の2階で設立祝い
こびりついた油でひどく滑る内階段も、古い作りの20畳ほどの座敷もたまらなく昭和感が溢れていて郷愁を誘います。この座敷で瓶ビールを飲みながらぼんやりと考え事をして仲間を待つのが好きです。
去る1月に、仲間たちがここ「兆徳」の2階に集まり、私の会社設立を祝ってくれました。私が愛して止まない、世界一の町中華でお祝いをしてくれるなんて、本当に粋な気遣いです。焼き餃子、揚餃子、レバニラ、砂肝の黒コショウ炒めなどなど、絶品メニューを皆でシェアし、ビールと紹興酒で流し込みながら語り合う時間は、なにものにも代えがたい、美味くて楽しい幸せな時間でした。
ここのメニューには外れなく、全てが相当美味いのですが、その中でも私の個人的なお気に入りは「ニラ玉」です。やわらかく仕上がった玉子とシャキシャキ感の残る香りの強いニラが絶妙な塩加減で絡みあい、黄色と緑が織りなすコントラストが、味覚だけでなく視覚をも優しく満たしてくれます。あと、忘れてはならないのは「たまごチャーハン」です。私はネギが食べれないので外してもらうのですが、そうすると具はありません。それなのに、金色に光るこのチャーハンは味わい深く、これもまたあくまで個人的にではありますが、「世界で一番うまいチャーハン」だと思う次第です。
団旗と仲間
そうやって食べ、飲み進めていくうちにあっという間に時間は過ぎ、料理は食べ尽くされ、紹興酒は空になりました。最高の中華と最高の仲間達に最上級の元気を貰って、事業スタートに向けていいスタートダッシュを切った、1月の夜でした。
この日、愛すべき仲間達が私の門出に、会社名とシンボルマークの入った「団旗」を贈ってくれました。門出の地として兆徳を選んだことといい、「冷静でありながら激熱な情熱家S」をはじめとするこの仲間は本当に粋な奴らです。
この「団旗」は、私が力尽きて倒れるまで、私の背中を押し続けてくれると思います。